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歯周病を放っておくと、全身の「老い」が早まるかもしれません 〜名古屋市昭和区の歯周病専門医が解説〜

んにちは。名古屋市昭和区の歯医者「歯科アイノ」副院長、日本歯周病学会専門医の相野誠です。

「歯ぐきから血が出るけれど、痛くないし、まあ大丈夫だろう」 「歯医者は痛くなったら行けばいい。今は困っていないから」

こんなふうに思っていらっしゃる方、実はとても多いんです。お気持ちはよく分かります。歯周病は痛みが出にくく、自分ではなかなか進行に気づけない病気だからです。

でも、近年、国内外の学術論文で少しずつ報告されてきたことがあります。それは、歯周病を放っておくことが、お口の中だけの問題では済まない場合があるということ。歯を失うだけでなく、足腰の衰えや、いわゆる「全身の老化」のスピードとの関連が研究によって示唆されてきているのです。

少し驚かれたかもしれませんね。今日は、「なぜ歯のケアが健康寿命につながるのか」、そして「では具体的にどうすればいいのか」を、できるだけ分かりやすくお話しします。読み終わるころには、定期的に歯医者へ通うことが、なぜご自身の将来のためになるのか、きっと納得していただけると思います。

歯周病は「治って終わり」ではない病気です

まず、ぜひ知っておいていただきたいことがあります。それは、歯周病は一度かかると、生涯にわたって付き合っていく病気だということです。

「えっ、治らないの?」と不安に思われたかもしれませんが、安心してください。きちんと治療をすれば、歯ぐきの炎症は治まり、進行を止めることはできます。

ただ、ここが大切なポイントなのですが、歯周病によって一度溶けてしまった歯を支える骨(歯槽骨)は、治療をしても元通りには戻りません。つまり、歯ぐきの土台はダメージを受けたままなので、ケアを怠ると、再び悪化してしまうリスクが常にあるのです。

風邪のように「治ったらもう気にしなくていい」というわけにはいかない。だからこそ、治療が終わったあとも、定期的なメンテナンスで良い状態を保ち続けることがとても重要になります。これが、私たちが定期通院を強くおすすめする一番の理由です。

歯を失うと、全身が弱りやすくなる傾向があります

近年、「オーラルフレイル」という言葉が注目されています。聞き慣れない言葉かもしれませんね。

「フレイル」とは、健康な状態と要介護状態のちょうど中間にある、心身が少し弱ってきた状態のこと。そして「オーラルフレイル」は、その入り口となるお口の機能の衰えを指します。具体的には、噛む力が落ちる、滑舌が悪くなる、食べこぼしが増える、といったちょっとした変化から始まります。

「たかが口の衰え」と思われるかもしれません。でも、これを軽く見てはいけないのです。

噛む力が落ちると、やわらかいものばかり食べるようになり、栄養が偏りがちになります。栄養が偏れば、筋肉や体力が落ちていく。やがて外出がおっくうになり、人との交流も減って、心身の衰えが進みやすくなる——こうした「負の連鎖」の入り口に、お口の衰えがあるのです。

そして近年の学術論文では、歯を多く失っている方や、重い歯周病を抱えている方ほど、このオーラルフレイルに陥りやすい傾向があることが報告されています。とくに、ご自身の歯が一定数を下回ってくると、お口の機能が大きく低下しやすくなる傾向が見られると指摘されています。

つまり、「歯を守ること」は、そのまま「噛む力を守り、全身が弱るのを防ぐこと」につながるとも言えるのです。これは、毎日の食事を楽しみ、自分の足で歩き続けるために、とても大きな意味を持ちます。

歯周病と「全身の老化」との関連——研究が示唆していること

さらに最近、もう一歩踏み込んだ研究も進んでいます。それは、歯周病による慢性的な炎症が、全身の老化のスピードに影響を与える可能性があるというものです。

私自身、これまで歯を支える骨について学んできた立場から見ても、近年報告されているこうした知見には興味深いものがあります。

私たちの体は、年齢を重ねると、自覚のないまま体のあちこちで弱い炎症がくすぶり続ける状態になっていきます。これは老化を加速させる一因と考えられているのですが、歯周病はこの体内の炎症をさらに強めてしまう可能性があると研究で示唆されています。

実際に、ある学術論文で報告された動物を使った研究では、歯周病の状態をつくると、お口から離れた場所——たとえば足の骨や筋肉、さらには記憶をつかさどる脳——にまで影響が及ぶ可能性が示されています。骨がもろくなったり、持久力に関わる筋肉が衰えたりといった変化が起きうるという報告です。

これらはまだ研究段階のお話で、すべてがそのまま人間に当てはまるわけではありません。ただ、「お口の炎症は、お口だけにとどまらない可能性がある」という視点は、これからの健康管理を考えるうえでとても示唆に富んでいます。

そしてもうひとつ、見逃せない知見があります。動物の研究では、歯周病の原因を取り除いたあとも、一度低下してしまった骨の密度はなかなか元に戻らなかったと報告されています。

これは、私が日々患者さんにお伝えしていることと重なります。つまり、症状が出てから慌てるのではなく、悪くなる前に手を打つことが何より大切だということです。

名古屋市昭和区で歯周病治療をお考えの方へ——私たちにできること

ここまで少し心配になるお話が続いたかもしれません。でも、大丈夫です。できることは、決して難しいことではありません。

ポイントは、たったひとつ。「痛くなってから行く」から「定期的に通う」へ、歯医者との付き合い方を少し変えるだけです。

歯科アイノでは、歯周病治療を終えられた患者さんに対して、SPT(サポーティブ・ペリオドンタル・セラピー)と呼ばれる定期メンテナンスを行っています。これは単に歯石を取るだけのものではありません。

  • 歯ぐきの状態(歯周ポケット)を毎回チェックし、悪化の兆しを早期に見つける
  • 専門的な器具によるクリーニングで、ご自宅では落としきれない汚れを除去する
  • 一人ひとりに合った歯みがき・歯間ケアの方法をアドバイスする
  • 必要に応じて、再治療が必要かどうかを判断する

こうしたケアを定期的に続けることで、治療後の良い状態を長く維持し、再発を防いでいきます。先ほどお伝えしたように、歯周病は生涯付き合う病気だからこそ、この「続けること」に大きな価値があるのです。

毎日のセルフケア(歯みがき・歯間ブラシやフロス)と、数か月に一度のプロによるメンテナンス。この両輪が、あなたの歯と、そして全身の健康を守る土台になります。

まとめ:今日のケアが、10年後・20年後のあなたを支えます

最後に、今日のお話を振り返ります。

  • 歯周病は一度かかると生涯付き合う病気で、治療後のメンテナンスがとても大切
  • 歯を失うと噛む力が落ち、全身が弱りやすくなる(オーラルフレイル)傾向がある
  • 歯周病の炎症は、全身の老化に影響を与える可能性があると研究で示唆されている
  • 一度受けたダメージは元に戻りにくいからこそ、「悪くなる前」の予防が何より重要

「歯ぐきから血が出る」「最近少し噛みにくい」——そんな小さなサインは、体からの大切なメッセージかもしれません。痛みがなくても、ぜひ一度お口の状態をチェックしにいらしてください。

定期的に歯医者へ通うという小さな習慣の積み重ねが、何年も先のあなたの健康と、毎日の食事の楽しみを支えてくれます。名古屋市昭和区で歯周病治療・歯周病専門医への相談をお考えの方は、どうぞお気軽にご連絡ください。

【歯科アイノ】 名古屋市昭和区広路町石坂1-1 / 地下鉄「八事」駅 徒歩1分 日本歯周病学会専門医・歯学博士在籍 歯周病治療・定期メンテナンス(SPT)のご相談はお気軽にどうぞ。 https://www.aino-dental.com/

参考文献

本記事は、以下の学術論文の知見をもとに、一般の方向けに分かりやすく再構成したものです。

  1. Caton JG, et al. A new classification scheme for periodontal and peri-implant diseases and conditions – Introduction and key changes from the 1999 classification. J Clin Periodontol. 2018;45(Suppl 20):S1–S8.(歯周病の新しい分類の考え方について)
  2. Tonetti MS, Greenwell H, Kornman KS. Staging and grading of periodontitis: Framework and proposal of a new classification and case definition. J Periodontol. 2018;89(Suppl 1):S159–S172.(歯周病の重症度と進行リスクの評価法について)
  3. Chen S, et al. Research trends in oral health and frailty studies: a bibliometric and visual analysis. Front Med (Lausanne). 2026;12:1610582.(お口の健康とフレイル研究の動向について)
  4. Xia X, et al. Cross-sectional study on oral frailty in elderly patients with periodontitis in Anhui. BMC Oral Health. 2026;26:176.(高齢の歯周病患者におけるオーラルフレイルの実態について)
  5. Kase Y, et al. Multi-organ frailty is enhanced by periodontitis-induced inflammaging. Inflamm Regen. 2025;45:3.(歯周病の炎症と全身への影響に関する研究について)

※本記事でご紹介した研究知見は、歯周病とオーラルフレイル・全身の健康との関連に関する学術的な報告に基づいていますが、その効果や個人への影響を保証するものではありません。気になる症状がある場合は、歯科医院での個別の診察をおすすめします。