「歯周病専門医が伝えたい、歯を失わないために本当に大切なこと」
こんにちは。名古屋市昭和区の歯医者「歯科アイノ」副院長、日本歯周病学会専門医の相野誠です。
今月末、一般の方向けに歯周病に関する講演を行います。準備を進めながら専門医として日頃から感じていることを、今回は率直に書いてみようと思いました。
少し長くなりますが、大切なことをお伝えしたいので、ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
■ 来院される方の多くが、すでに進行している
診察室で毎日感じることがあります。
「歯がぐらついてきた気がして…」「最近、歯磨きすると血が出るんです」——こうした訴えで来院される方の口腔内を検査すると、歯を支えている骨がすでにかなり吸収されているケースが少なくありません。
歯周病が「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」と呼ばれるのには理由があります。炎症が深い部分で進んでいても、初期・中期の段階では痛みがほとんどありません。出血も「たまにあること」として見過ごされ、自覚症状が出た頃には、骨の吸収がすでに相当進んでいる——これが歯周病の怖さです。
「もう少し早く来てくれていたら」と思うことが、正直、今でもあります。
■ 再生療法という選択肢はある。でも、それが「ゴール」ではない
今月、約10年ぶりに「歯周病患者における再生療法のガイドライン2023」が改訂されました。GTR法、エムドゲイン(EMD)、そして日本発で保険適用のリグロス(FGF-2)など、失ってしまった歯周組織を取り戻すための選択肢は、確実に広がっています。
これらは素晴らしい技術です。しかし、専門医として正直に申し上げたいのは——
歯周病は、外科処置で「治す」病気ではない、ということです。
歯周病は細菌感染ですが、同時に生活習慣病の側面を強く持っています。喫煙・血糖コントロール・ストレス・日々の清掃習慣——こうした要因が整っていなければ、どんなに精度の高い手術をしても、再発します。再生療法は「条件が整った上での最終手段」であり、日常管理という土台なしには成り立ちません。
また、再生療法は非常に高度な技術を要する処置であり、骨欠損の形態や患者さんの全身状態によって、結果は大きく変わります。「手術を受ければ治る」という期待は、残念ながら正確ではありません。
■ では、何が一番大切か
答えはシンプルです。
「自分のお口の現状を知ること」と「それを管理し続けること」——この二つだけです。
歯周ポケットの深さ、骨の状態、出血の有無は、検査をしなければわかりません。自覚症状がないからこそ、定期的に専門家に「現在地」を確認してもらうことが不可欠です。自分では気づきにくい磨き癖や磨き残しのクセも、プロのチェックなしには修正できません。
そして、定期的なプロフェッショナルクリーニングと、毎日のセルフケアの継続。派手さはありませんが、この地道な積み重ねが、一生自分の歯で食事を楽しむための唯一の確実な道です。
最新の再生療法を学べば学ぶほど、「そこに至らないための管理」の価値が際立ちます。治療技術の進歩は、予防の大切さを否定するのではなく、むしろ強調しています。
当院では随時、歯周病のご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。
歯科アイノ(Aino Dental Clinic)
名古屋市昭和区広路町石坂1-1
TEL:052-833-2855
